リニアPhoto:PIXTA

リニア中央新幹線の品川駅と名古屋駅の建設における鹿島と大成建設の独占禁止法違反を問う裁判が始まった。無罪を主張する2社に対して、同じ入札に参加した大林組と清水建設はすでに違反を認め罰金刑が確定している。ゼネコン国内トップ4社で認識が分かれ、対立を深めている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 松野友美)

 さかのぼること4年、2014年のクリスマス当日。清水建設本社11階では、社員が万歳をして「大きなプレゼントをもらった!」とはしゃいでいた。

 この日、JR東海がリニア中央新幹線の品川駅新設工事の競争入札実施を候補企業に通知しており、大林組、鹿島、大成建設と共に清水にも声が掛かったのだ。

 品川駅工事の募集が1工区だった場合、技術者を必要なだけ集められるのは大手ゼネコンの中でも規模が大きい大林、鹿島、大成の3社だけ。清水は区間分割で募集範囲が小さくならないと物理的に参加できない状況だった。

 清水は東海に必死の営業をした。そして南北2区間に分けて募集されることが決まったのである。

 リニア品川駅および名古屋駅は、営業中の東海道新幹線駅の地下に新駅を造るため、特に工事が難しい。だからこそ“歴史に残る仕事”としてゼネコンの垂ぜんの的だった。