「東京オリンピックへ向けて、まだまだ成長できると思っている。この年齢になっても伸ばせる部分というものを見つけて、現状維持ではなく向上していく本田圭佑を見せていきたい」

 男子サッカー競技には年齢制限が設けられていて、東京オリンピックでは1997年1月1日以降に生まれた選手となっている。そこへ3人を上限として、年齢制限のないオーバーエイジが加わる。A代表と兼任する森保一監督はオーバーエイジを前向きに受け止めるものの、詳細に言及したことはない。

 開催国としてアジア予選を免除されるだけに、来夏に照準を合わせながら、伸び盛りの若い選手たちで骨格を固める。その上で足りない部分に、オーバーエイジの力を借りる形になる。異例となる本田の立候補はしかし、立ち居振る舞いに不思議な力を宿らせ、現実のものに導く言霊にも聞こえる。

「もちろんプレーファーストで。確実に満足のいく形で、ピッチに立てていないと意味がないと思っているので、ノンストップでいきますよ」

 パフォーマンスを介して森保監督を振り向かせたい、と笑顔を浮かべる本田へ質問が飛んだ。濃密すぎる経験を誇る大ベテランと面識のない若手とがチームメイトになることで、必要以上にリスペクトされるとは思わないのか――。豪快に笑い飛ばしながら、本田は再び首を横に振った。

「後輩に怖がられた経験なんて、僕の人生ではないですよ。いろいろな後輩に聞いてみてください」

 これまでのサッカー人生を振り返れば、思わず眉をひそめられるようなビッグマウスを連発。退路を断つことで自らへプレッシャーをかけ、浴びせられる批判を前へ進む糧に変えてきた。サンフレッチェ戦後に残した言葉の数々には、実は本田の生き様が凝縮されている。

 嗅覚鋭いビジネスマンとして。今も世界へ挑み続ける先駆者の一人として。そして、貪欲に成長と夢を追い求めるアスリートとして。さまざまな顔を凱旋先の広島に刻み込んだ本田は、夏の終わりを迎えたオーストラリアへ再び戻り、連敗スタートを喫したACLの巻き返しと連覇がかかったリーグ終盤戦の正念場へ集中力を研ぎ澄ませていく。