外国人労働者は制度を
守って働いてくれるのか?

 このような「人の心」という視点が昨年、選挙のために政府がゴリ押しした「外国人労働者の受け入れ拡大」ではゴッソリ抜けている。

 安倍政権によると、「外国人労働者」は「移民」ではなく、「特定技能」という在留資格で、14業種の特定産業分野で働くことを条件として在留が許可される人だ。つまり、介護職で日本に来た人は介護職を辞めたら日本から出てってね、というわけだ。

 だが、この制度を適応する相手は「奴隷」ではなく、職業選択の自由を持つ人間である。当然、「消えた留学生」らと同じような心理が働く。

 例えば、介護職の「特定技能」で日本にやってきた中国人の女性がいたとしよう。しかし、ご存じのように、日本の介護現場はハードな割に賃金も低い。今や中国の介護現場の方が待遇がいいという話もあるくらいだ。

 ということで、程なくしてこの女性、勤務先どころか、日本で介護の仕事をすること自体を辞めたいと思い立った。

 介護を辞めれば、「在留資格」を奪われて日本から出ていかなければならないのだが、彼女はサクッと職場から消えた。同郷の友人から紹介された夜の仕事でガッツリ稼げるからだ。待遇の良さが、不法残留というリスクを上回ってしまったのだ。

 こうして一人、また一人と外国人労働者が何の断りもなく職場から姿を消して行き、気がつけば、「人手不足の救世主」と崇めていた外国人労働者が、何千人も「所在不明」となり結果、日本は、何をしているのかよくわからない「不法移民」が溢れかえる国になりましたとさ――。

「はいはい、妄想おつかれさん」という声が聞こえてきそうだが、筆者がこういう最悪な未来を予想してしまうのは、他にも理由がある。実は今回の「消えた留学生」問題というのは図らずも、政府が推進する「特定技能外国人労働者」という制度の致命的な欠陥を露呈させてしまっているからだ。