しかし、イギリスのスコッチメーカーは、消費者が輸入ワインをあきらめて国産スコッチで我慢してくれれば国内販売が増えるはずだ。フランスのワインメーカーも、消費者が輸入スコッチを諦めて国産ワインで我慢してくれれば、輸出減を国内販売増で補えるので、いずれの企業もそれほどは困らない。

 つまり、差し引き後で見た不利益は、それほど大きくないのだ。特に、産業構造や得意分野が近い国々の間では、そもそも輸入品と国産品の差が大きくないから、影響もあまりないのだ。

 評論家の中には、輸出が減ることだけを指摘して国内販売が増えることに言及しない人もいるようだが、物事は多面的に見なければならない。知的に見せようと悲観論を述べたがる評論家が多いが、筆者のように「大丈夫だ」と言う勇気も重要だ。

 金融業についても、イギリスからの大量脱出が起きるかもしれないが、それはイギリスのGDPを減らす一方で、移転先である例えばドイツのGDPを増やすので、ヨーロッパ全体のGDPに対する影響は限定的であろう。となれば、日本からヨーロッパへの輸出も減らず、日本経済への影響は限定的といえるだろう。

イギリスに工場を持つ日本企業が
打撃を受けるかもしれないが…

 イギリスに工場を持ち、ヨーロッパ大陸に輸出している日本企業にとっては、輸出が減るため影響はあるだろう。だが、影響を受けるのは現地子会社であって、日本の親会社ではない。失業するのはイギリス人労働者であって、日本人労働者ではないからだ。

 イギリス子会社が赤字に転落すれば親会社の利益も減るが、そのことによる日本経済への影響は限定的だ。そもそも日本企業のイギリス子会社が利益を稼いで親会社に配当をしても、日本の景気に貢献しない。だから、それが消えても日本の景気には影響しないからだ。