そして、2件目の債務者が返済のためにドルを購入することでさらにドル高となり、3件目の返済をする債務者はさらに苦しくなる。こうした繰り返しで、最後は対外債務を返済できない債務者が出てくる可能性があるのだ。

 ところがユーロを使っていると、そうした問題が発生しないので、対外債務を抱える国にとっての安心感は大きい。加えて、対外債務を抱える国に対する融資を行う外国銀行も安心して貸してくれるから、安い金利で借りられるということにもなるわけだ。

リーマンショック級の
危機もこない

 悲観論の好きな評論家の中には、「リーマンショック級の危機がくる」と言っている人もいるようだが、それも考えにくい。

 まず、イギリスが離脱しただけでEUの経済が“壊滅的”な打撃を受けることはあり得ない。世界経済が深刻な打撃を受けるとも考えにくい。経済規模が米国よりはるかに小さい上に、イギリスポンドが米ドルと異なり、基軸通貨ではないからだ。

 リーマンショックは、基軸通貨であるドルの調達が世界的に難しくなったことが大きな原因だった。米国の銀行が貸し渋りをし、世界の貿易や投資などに深刻な影響が出たのだ。対するイギリスポンドは基軸通貨ではないから、イギリスの銀行が貸し渋りをしても、世界の貿易や投資に与える影響は限定的だ。

 筆者は年初に「今年の日本経済、海外にリスク要因あるが過度な心配は不要な理由」を寄稿したが、そこにはイギリスのEU離脱を想定していなかった。だが、その判断は変わらない。イギリスのEU離脱については、その程度の認識でいいのではないだろうか。