本社・本部からはブラックボックスになりやすいBtoCの職場において、属人的なマネジメントがされているところに、学生・主婦・シニア・外国人留学生など多様なバックグラウンドを持つ従業員が集まることで、こうした事件・事故は「どこでも起こり得る」という状況になってしまっている。職場の多様性が増し、アルバイトの意欲を保ったり、良好な関係を築いたりすることは容易なことではない。「何も習っていない」状況で現場に投入される店長・マネジャーのせいにしては、問題は解決しないだろう。

アルバイト・パート職場の
現場マネジメントを見直すきっかけに

 今回のデータはあくまで大きな数値で捉えた傾向値であり、問題が起こった職場の事例にそのまま当てはめることはもちろんできない。しかし、かといって、一部の従業員のモラルや、一部の店舗・企業の問題として片付けるのではなく、これを機に、アルバイト・パート職場の「ピープル・マネジメント」を見直すきっかけとすることのほうが、より生産的ではないだろうか。賠償請求という「不信感」をベースにした抑圧的な手段では、働く方も働かせる方も気持ちの良いものではないし、抑止効果にも限界があるだろう。そもそも不正行動というものは、「拡散しなければいい」という問題ではない。

 そうした見直しは、現場の店長や管理者任せにせず、本社や本部の十分なサポート、教育投資が必須だ。同一労働同一賃金の問題や、雇用形態差別、現場のマネジメント育成の不徹底など、アルバイト・パートを巡る雇用問題は根深く、1つひとつ改善していくしか方法はない。

 SNSが定着し、多様な従業員が働くなかで、今回のような騒動を完全に防ぐのは難しいかもしれないが、少しでも発生確率を減らすことはできるはずだ。いまの騒動を契機として、アルバイト・パートの職場環境づくりの是正に力を入れる企業が多く出ることを願ってやまない。

(パーソル総合研究所 主任研究員 小林祐児)