当然のことながら息子と仮面ライダーのごっこ遊びが勃発するわけだが、夫がいる分には夫に相手をしてもらっておけばよい。夫はうまい具合に悪の組織役を演じて息子の気分をよろしくしてくれる。

 問題はBさんが息子の相手をする場合である。淑やかな女性であるBさんは、しかし息子に「ママはできないからパパとやって」とは言わなかった。夫が不在、かつ「ママが仮面ライダードライブ役をやる」という条件付きでごっこ遊びの相手を務めようとした。Bさんは竹内涼真が好き過ぎて、彼の変身後の役すら誰にも渡したくなかったのであった。

 Bさんの幼さは息子と真っ向から衝突した。息子は泣いてママをなじり、Bさんは早々に反省してドライブ役を明け渡したが、そのあと猛烈につまらない気分で息子の相手を務めなければならなかった。

仮面ライダー、うたのおにいさんetc...
親が実物タレントに恋する心理

 しかし放送が回を重ねていくと、もう1人のライダー「仮面ライダーマッハ」が登場した。息子の興味がそちらに行くようにBさんは「マッハかっこいい!」「マッハ強すぎ!」などと姑息な誘導を試み、功を奏した。息子はすっかりマッハ贔屓になった。

「もしかしたら私がドライブを好きなことに気がついていて、息子なりに気を遣ってくれたのかもしれない。本当にありがとう息子よ」

 息子とのごっこ遊びはかくして安泰となった。Bさんがドライブ役、息子がマッハ役である。虚空に仮定された透明の敵か、または夫がいれば夫を2人で共闘して倒すのであった。