欧州連合(EU)欧州委員会は3月20日、米グーグルに対し、インターネット広告の分野でEU競争法(独占禁止法)に違反したとして14億9000万ユーロ(約1900億円)の制裁金を科した。インターネット検索などを通じて個人データが「GAFA」と呼ばれる巨大デジタルプラットフォーマーに集中する現状には、日本の公正取引委員会も問題視しており、実態解明に乗り出した。ネット検索行為を「取引」と新たに解釈し、利用者が不利益を被っていないか初判断を下す。(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)
GAFAPhoto:PIXTA

「インターネットで検索する行為自体が、財としての価値を持つ時代になっている。そこである種の取引が行われているとすれば、その取引条件が利用者に不利益を与えているかどうかが、われわれとしての切り口になるのではないか」

 3月中旬、公正取引委員会の杉本和行委員長が本誌インタビューに応じ、そんな見解を示した(詳細は『公取委員長吠える!GAFAの「勝者総取り」は許さない』参照)。

 少し補足が必要だろう。

 多くの人々は今や日常生活の一部として、ネットの検索サービスを利用する。サービスは無料だが、実は利用者はそのサービスの対価として検索履歴など自身の行動情報を提供している。そうしたデータを世界規模で収集するのが、米国のグーグルやアップル、フェイスブック(FB)、アマゾン・ドット・コムといった「GAFA」と呼ばれる巨大デジタルプラットフォーマーだ。

 彼らは集めたデータを加工し、ターゲティング広告(ユーザーの検索履歴などを基に関心を推測し、ターゲットを絞って配信される広告)などの事業を展開して莫大な利益を上げる。だとすれば個々のデータは、それ自体が価値のある「財」であり、ネット検索などを利用する行為はサービスと財を交換する「取引」に相当する、というのが杉本委員長の見解だ。