『週刊ダイヤモンド』3月30日号の第1特集は、「株・為替の新格言」特集です。2018年2、10、12月と3度に渡って株式市場を襲った暴落の荒波は、適温相場に慣れた市場関係者を震え上がらせました。その主犯は、アルゴリズムを駆使し、超高速で取引を行う機械取引とされますが、果たして本当でしょうか。相場を動かすメインプレーヤーである外国人投資家や中央銀行の動向とともに検証し、かつての常識が通用しなくなった株・為替相場の「新格言」を導き出しました。

2018年12月25日、前日の米株安を受け1年3ヵ月ぶりに2万円を割り込んだ日経平均株価2018年12月25日、前日の米株安を受け1年3ヵ月ぶりに2万円を割り込んだ日経平均株価 写真:読売新聞/アフロ

 株式市場にとって、やはり「10」という数字は鬼門なのか――。

 今から約30年前の1987年10月19日、米ニューヨーク証券取引所のダウ工業株30種平均の終値は、前週末より508ドル下落した。いわゆるブラックマンデーだ。

 株価の下落率は22.6%に達し、世界恐慌の引き金となった1929年の暗黒の木曜日、ブラックサーズデーの下落率12.8%を大きく上回った。この翌日にはアジア各国の市場に危機が伝播、日経平均株価は14.9%下落し、3836円安の2万1910円と過去最大の暴落となった。

 その10年後の97年。運用チームにノーベル経済学賞受賞者たちをそろえ、高度な金融工学理論を駆使していた米ヘッジファンド、ロングタームキャピタルマネジメント(LTCM)が破綻した。

 巨大なレバレッジを掛けた運用を行っていたために、アジア通貨危機による相場の大変動を吸収できず、ドリームチームと呼ばれたLTCMは設立からわずか5年で姿を消すこととなった。

 そして、さらに10年後の2007年には、フランス・パリに本拠地を置く世界有数の金融機関、BNPパリバを発端とするサブプライム問題が勃発。翌08年9月のリーマンショックを引き起こしたことは、いまだ記憶に新しい。

 こうした株式市場を大きく揺るがす金融危機は、「10年周期」で訪れることが多い。そうした意味でいえば昨年、18年は過去に比べれば規模は小さいながらも、2度のクライシスが起きている。