「書き込むために行動する」人たち
SNSが身近になりすぎると、がんじがらめになって抜けられなくなるのでしょう。信じがたいことですが、SNSによって自分の行動を支配されるような状況が生み出されているようです。
この主客逆転というべき現象は他でも起こっています。
「ネタ消費」と呼ばれるそうですが、SNSで自分をアピールするために、1回きりの習い事に通ったり、面白い商品を買ったり、珍しい場所に出かけたりする人が増えているのだとか。大手シンクタンクの試算では、そんな消費者が生む経済効果は3400億円にもなるそうです。
たとえば「今日は五つ星ホテルで3万円のフレンチを食べた」とSNSに書き込みたいと思った場合、「ウソ」を書くのが一番カンタンな方法です。ところが実際に起きているのは、「本当」のことを書き込むためにわざわざ3万円払ってフルコースを食べに行くという現象。以前であれば、こんなことはなかったと思うのです。
つまり、行動したことを書くのではなく、書くために行動する。
リアルを書くために、無理やりリアルを作り出さなければならない。「本当」のことしか許されない「ウソ」のない世界は、いかにも窮屈に思えます。
心地よい人間関係を作るには、あえて相手と距離をとることも必要です。そして時にはウソも方便です。SNSとうまく付き合い続けるには、そんないい加減さも必要なのではないでしょうか。