私とレッドスターは驚きました。私たちは探偵である事と男性の素行調査の話をお伝えしました。男性が「近所の人たちがそんな評価をしている事は分かっていた。俺、2年前に同じ寮に住んでるやつに宗教に勧誘されて、そいつを罵倒したらそこから犯人を俺と思わせるような悪質ないたずらが起きて、同じ寮に住んでるやつらに全部俺が犯人みたいに思われてきた。俺もいろいろ戦ったが信用されずここの寮でも会社でも精神的に辛くなって何でも疑うようになってしまった。おそらく片桐君の原付も、近所の人と俺がバトルするように宗教団体のやつらが俺の部屋の前に置いたんだろうね。疑ってごめんな大人げなかったよ」

 私はその頃まだ新人だったので衝撃が強すぎました。私たちは単純に男が悪いやつだと思い込んでいましたが、逆に被害者だったんだと思いました。もっと俯瞰でいろいろな事を見ないと駄目だと痛感した夜でした。

 私たちが判断を間違えれば悪いやつらの片棒を担いでしまう事もあるんです。映画、ドラマよりもリアルな現場がそこにあります。

実家の会社を男に紹介
いまだに続く3人の仲

 一気にどんよりした空気の中、片桐さんが持ち前の明るい感じで男性に「俺のおやじ、○○重工の社長で俺息子なんです。最近現場の人が辞めておやじ困っていたので地元で働きませんか?」と言いました。すると男性は「えっ!?あの○○重工なの?地元で有名だもんな。知ってるよ。おやじさん社長なのすごいな!ぜひ頼むよ」

 片桐さんは「分かりました。明日親父に伝えておきます」と言いました。

 少し前まで、あれだけもめていた2人が同じ地元で盛り上がり、男は地元に帰って片桐さんのお父さんの会社で働くという緊張の緩和がすご過ぎて大爆笑してしまいました。男は「また人の事好きになりたいな」と言っていました。

 片桐さんは男に「連絡先教えてください」というと、男は「OK!引き続き非通知電でかけるな!」と答えると、全員大爆笑でした。片桐さん、男、お巡りさんはあの日の夜がきっかけで世代を超えていまだに仲良しみたいです。

「片桐さんの優しさ」「ミラクルな3人同じ中学卒」。点と点が線になる探偵トークでした。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため個人名は全て仮名とし、一部を脚色しています。ご了承ください。