さらに、2度の更改を経て、07年に3度目の契約を交わしたときには、5年で9000万ドル(約99億円)という大型契約を結んだが、その際、毎年500万ドル、5年間の合計で総額2500万ドル(約27億5000万円)を後払いで受け取る契約となっており、5.5%の利子を乗せた金額を引退した翌年の1月から受け取ることになっていると、記事は報じている。

 いわば、“未来の生活を今の自分が支える”という「老後資産形成」の基本の「き」のお手本を見せてくれたようなものであり、これについても多くの称賛の声が上がっているのだ。

サラリーマンの退職金や年金も
報酬の後払い制度だった

 ところが金額はともかく、報酬の一部を後払いで受け取ることができるという点は多くのサラリーマンにとっても同じだ。退職金や企業年金という制度は、まさに報酬の後払いだからだ。

 退職金というと、長年働いたことによるご褒美、つまり「功労報酬」のような位置づけで捉えている人が多い。

 もともと退職金のルーツは、江戸時代の「のれん分け」だ。長年働いてくれた奉公人に対して店の屋号を使うことを許し、いくばくかの資金援助をして独立させるというもの。功労報酬そのものであり、その後も連綿と続く退職金という制度には、確かに長年の労をねぎらうという意味があるといえるだろう。

 ところが、現代における退職金や企業年金は、明らかに功労報酬ではない。退職後の老後の生活を賄うための資金、つまり「給与の後払い」という位置づけなのだ。

 その証拠に、退職金や企業年金は、企業会計上は「退職給付債務」と呼ばれる。そう、すなわちこれは、会社が将来退職した社員に対して支払う義務を負っている債務なのだ。