出向早々、修羅場、修羅場、修羅場!

 1994年、私は日本電子の子会社である「株式会社日本レーザー(レーザー専門の輸入商社)」への出向を命じられました。

 当時の日本レーザーは赤字が恒常化し、「1億8000万円」の債務超過に陥っていました。

 そんなメインバンクからも見放された「崖っぷち会社」の再建を託されたのが、私です。

 日本レーザーの財務状況は驚くほど真っ赤で、火の車。
 いつ倒産してもおかしくない状況でした。

 銀行も、親会社も頼れない。
 資金繰りに困窮していて、現預金はない。

 あるのは、不良債権、不良在庫、不良設備、不良人材ばかり。
 社内は、「不良」以外何もない修羅場でした。


 こんな状態で、本当にこの会社を立て直すことはできるのか?
 一寸先は、闇しかない日々が続きました。

 それは、我々のビジネスモデルが「とんでもない修羅場ビジネス」であることに起因するからでした。次回は、その理由を紹介しましょう。

 今回の本は、どんな業種でも、経営に携わる人、仕事をしている人なら、必ず役立つ再現性のある本だと思っています。今から25年前の倒産寸前時と現在の財務諸表も思い切って出しました。巻末プレミアムには「修羅場経営者が体得した『お金の哲学』」も収録しました。
 ぜひ面白がって読んでいただき、役立てていただければと思います。

近藤宣之(こんどう・のぶゆき)
株式会社日本レーザー代表取締役会長
1944年生まれ。慶應義塾大学工学部卒、日本電子株式会社入社。28歳のとき、異例の若さで労組執行委員長に推され11年務める。取締役アメリカ法人支配人などを経て、赤字会社や事業を次々再建。その手腕が評価され、債務超過に陥った子会社の日本レーザー社長に抜擢。就任1年目から黒字化、以降25年連続黒字、10年以上離職率ほぼゼロに導く。役員、社員含めて総人員は65名、年商40億円で女性管理職が3割。2007年、社員のモチベーションを高める視点から、ファンドを入れずに(社員からの出資と銀行からの長期借入金のみ)、派遣社員・パート社員を除く現在の役員・正社員・嘱託社員が株主となる日本初の「MEBO」(Management and Employee Buyout)で親会社から独立。2017年、新宿税務署管内2万数千社のうち109社(およそ0.4%程度)の「優良申告法人」に認められた。日本商工会議所、経営者協会、日本生産性本部、中小企業家同友会、日本経営合理化協会、関西経営管理協会、松下幸之助経営塾、ダイヤモンド経営塾、慶應義塾大学ビジネス・スクールなどで年60回講演。第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の「中小企業庁長官賞」、第3回「ホワイト企業大賞」、第10回「勇気ある経営大賞」など受賞多数。「人を大切にする経営学会」の副会長も務める。著書に、ロングセラーとなっている『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』(ダイヤモンド社)などがある。
【日本レーザーHP】http://www.japanlaser.co.jp/ 【夢と志の経営】http://info.japanlaser.co.jp/