台中連合は、白山工場(石川県)の建設のためにJDIが米アップルから借りた債務について、アップルが返済条項の緩和をすることを出資条件としていた。アップルは3月末の間際になって譲歩案を提示したが、中国自動車部品メーカーの敏実集団(ミンス・グループ)とその傘下の台湾・淳安電子(SOE)は連合から離脱。出資へ大筋合意する最終段階まで揉めに揉めた。

 アップルが示した譲歩案は、同社向け債務残高約1000億円について、2019年度返済分の一部を20年度に繰り延べるといったものにとどまった。JDIの現預金が300億円を下回った場合の「トリガー条項(即時全額返済を求めるか、白山工場を差し押さえる)」はそのまま残っており、アップルが発注し続けなければたちまち現預金残高は枯渇する。従って今後の経営再建においても、アップルは絶大な影響力を持ち続ける。

INCJが手厚く支援も、追加資金が必須

 大筋合意において、台中連合はJDIに600億円規模の資金を注入する。このうち400億円は普通株で、残りは新株予約権付き社債で入れるかたち。台中連合の議決権は5割超になって筆頭株主になる見込みだ。

 25%の株を握るINCJの議決権は12%前後に低下するが、INCJはJDIの金融支援の最終調整に入った。

 これまでのINCJの支援総額は、設立時の2000億円の出資(2014年のJDI上場により1674億円を回収)を除き、合計1820億円。内訳はまず、みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託の主要3行が1年契約で実施しているコミットメントライン(融資枠)1070億円の債務保証。それと、18年6月に能美工場(石川県能美市)の売却とともに貸し付けた短期資金200億円、16年末の合意で有機ELパネル開発費として支援した資金の残高の新株予約権付社債250億円、劣後ローン300億円となる。

 この総額1820億円の負債返済の負担を軽減するのが、今回の金融支援の柱。まずは8月に1年の期限を迎える銀行の融資枠1070億円についてINCJが直接融資で肩代わりした上で、750億円を優先株に、770億円は5年返済の長期貸し付けに切り替える。劣後ローンの300億円は維持する予定。

 これにより、債務の株式化と返済長期化を合わせた1500億円規模で、JDIの資金繰りを支援する。JDIの資本増強は、台中連合の400億円の普通株とINCJが切り替える優先株750億円の総額1150億円になる見通しだ。