●2人目……詐欺行為
2人目は、お客様に対して、詐欺まがいの行為を働いた社員です。
ある会社から、大型システムを受注した際、バックアップ用のパソコン2台が注文書に含まれていました。本来、バックアップ用のパソコンは、1台あれば十分です。
けれど彼はお客様に、「バックアップ用のパソコンは2台必要だ」と嘘をついて、2台分の注文書を出させたのです。
そして、「私が1台預かっておけば、当社のほうでもシステムの管理ができます」と嘘を重ね、パソコンを私物化しました。
要するに彼は、お客様のお金を使って、自分のパソコンを買った。自分がほしかったパソコンの代金を、お客様の原価に入れていたのです。
私は、彼が会社では用意していない新しいパソコンを使っていることに気づき、問い質しました。すると彼が「お客様から借りている」と答えたので、「借用書はあるのか?」と確認したところ、「ない」と言う。
やがて彼はシドロモドロになって、ついに「嘘をついていた」ことを白状しました。
私は諭すように彼に言いました。
「キミは、お客様の所有物を私物化したことになる。
仮に相手が被害届を出したら、窃盗罪に問われるかもしれない。
前科者になるようであれば、会社としては懲戒処分するしかない。
懲戒解雇が決まれば、退職金は出ない。それは覚悟しているよね」
すると彼は、
「自己退職なら退職金は出るのですよね。
だったら退職届を書きます」
と言って依願退職をし、会社を去って行きました。
「25の修羅場」の詳細は、第1回連載「倒産寸前から売上3倍、自己資本比率10倍、純資産28倍!「25の修羅場」が「25年連続黒字」をつくった理由」をご覧ください。
きっと、私が血反吐を吐きながら、泥水を飲みながらのここまでのプロセスの一端を垣間見れるかと思います。