3月決算が「最悪」な3つの理由

1.受注と納品が集中する
2.納税によってキャッシュフローが悪化する
3.追徴金を支払うことになりかねない

1.受注と納品が集中する
 当社の顧客である大学、官公庁、国、地方自治体、主要企業は、ほとんどが3月決算です。

 そうなると、期末の予算でレーザー機器を購入するため、3月に受注と納品が集中します。当社としても全力で対応しますが、それでも本当に3月に納入できるのか、納入できても検収(点検)が終わるのかわかりません。
 仮に当社が「3月に売上を立てないと赤字になる」状況のときに、検収がうまく終わらずに4月にズレ込んでしまうと、「3月決算時に赤字」が確定します(検収が終わってからでなければ支払いが確定しないため)。

 すると、銀行からの信用格付けも下がります。
 一方、3月に大きな利益が出ると、その半分の利益は税金で持っていかれます。3月決算の場合、売上を立てても、立てなくても、財務上のマイナスが生じかねないのです。

2.納税によってキャッシュフローが悪化する
 3月に一番売上が上がり、大きな利益が出た状態で決算になると、「2ヵ月後の5月」にたくさんの法人税を支払わなければなりません。

 しかし、5月では売掛金の回収ができていないため、「利益が出すぎたために税金が払えず、決算資金(納税の資金)を銀行から借りる」という事態に陥りかねません。
 実際、納税のためにメインバンクから「決算資金」を借りたこともあります。

3.追徴金を支払うことになりかねない
 3月に受注して4月に納品した場合、当社としては「まだ検収が終わっていないので、4月に売上計上したい」と考えます。

 ところがそれをすると、税務署から「利益逃れ」と指摘されることがある。
 なぜなら、「実際に検収が終わったのは4月だけれど、顧客が仕入れた(発注した)のは3月だから」です。

 私たちが4月に売上計上しても、顧客が「3月の仕入れ」にしていた場合、「期ズレ」を認定され、追徴金を払うことになります。

 税務署員は当社の取引先の大手上場企業にも行って、3月に形式上の購入(経理検収という)をしたことを確認しますので、逆らえません。
 顧客のためには、技術検収が終わってから1年間の無償保証がスタートしたほうがいいのでしょうが、年度内に予算を執行したことが重要なのです。

 3〜4年に一回の税務調査で毎回追徴金を支払い、多いときには1400万円も払いました。

 しかし、12月決算に変えて(年度を1〜12月に変更)からは、まったく追徴金を払っていません。