堀井さんを
取り巻く環境が変化していく

 その後、堀井さんは新規事業の仕事がかなり忙しくなり、実質上は、Bさんがチーフのような役割を担い、直接役員に付く機会が多くなります。しかしその頃から、堀井さんと役員の間で、重要な事柄を「聞いていない」というようなすれ違いが多くなっていきました。

 例えば、こんなことがありました。ある新規企画が役員会議の議題になることが決まり、堀井さんも内容を把握していなければなりませんでした。しかし、Bさんから何も聞いていなかったのです。会議の前日に役員から「新規企画のプレゼン資料を見せて」と言われたときも、なんのことか分からずにきょとんとしていると、「Bさんからだいぶ前に聞いているはずだけど」と言われました。

 このときは、Bさんから聞いていないと役員に言うと、Bさんの評価が下がってしまうと思い、さらには連絡ができていないことへの責任も感じて、役員に謝りました。Bさんにその件を伝え、今後は役員への伝達事項は共有してほしいと伝えると、Bさんから「えぇ!堀井さんはすでに分かっていて準備しているんだと思ってた。ごめんね」と言われました。しかし、その後も似たようなことが続き、堀井さんは役員から注意されることが多くなっていきました。

 この頃から堀井さんは、Bさんに違和感を持ち始めます。何度も情報共有をお願いしているのに、重要な一部分が抜けていたり、曖昧な伝え方をされたりということが続いたからです。秘書チーム3人でミーティングをしていてもなんとなく空気が重く、今までの雰囲気とは明らかに違います。仕事後の女子会もなくなりました。

 それで堀井さんは、いろいろなことをAさんに相談するようになっていきました。Aさんは、堀井さんの話を熱心に聴きながら「私で良かったら愚痴でも何でも話してください。堀井さんのお役に立ちたいんです!」と言ってくれました。

 役員やBさんとのコミュニケーションがうまくいかず、イライラしていた堀井さんにとって、Aさんの存在が大きくなっていき、新規企画に関する内容なども意見を聴きたいからとAさんに相談するようになっていきました。相談の中身には、まだ役員と堀井さんしか知り得ないような内容もありましたが、堀井さんはAさんを信用しきっていました。