前回、「50代の男のキャリア上の嫉妬は激しい」ということを皆さんにお伝えした。
もちろんこのコラムの読者には女性もいらっしゃる。女性も仕事上の嫉妬に苦しむことがあるだろう。ここでは「男の」としているが、もし自分に当てはまるところがあれば我が事として考えてみてほしい。
今回は、幅広くキャリアや仕事の上で嫉妬をしないための心の処し方について考えてみたい。
実はその答えは、至極当たり前のものだ。今いる会社で真っ向勝負をかける。決して逃げない、ということだ。勝負のかけ方には二つある。一つはセンター、つまり社長、CEO狙いの勝負。もう一つは、CFOなりCIOなり、いわゆるCXOの座を狙う勝負だ。
最初に断っておくが、今回の記事は、CEOやCXOになるための方法論を説くものではない。あくまでも、その後の人生を嫉妬で苦しまないための努力についてのアドバイスである。将来の心のケアの方法論だと思ってほしい。
人事を尽くすなら、
たとえゴルフにだって挑戦したほうがいい
50代で苦しまないために、40代をどう駆け抜けるべきか。そのための真っ向勝負のかけ方を考えたい。逃げた場合、言い訳は、他人にはできても、自分にはできないものだ。将来、「自分は逃げなかった」と自信を持てるようになることが大切だ。
「人事を尽くして、天命を待つ」という言葉がある。至極当たり前の話だが、「逃げなかった」と納得するには、この言葉を実践することだと思う。天命を待つ心境になれれば、心は晴れやかで穏やかなはずだ。その結果がたとえ望み通りでないとしても、決して、後悔したり嫉妬したりはしなくて済む。
では、「人事を尽くす」とはどういうことであろうか。
たとえば、ゴルフを例にとってみよう。ゴルフ人口は昔に比べてかなり減った。読者の皆さんの中にも、ゴルフをしない人は少なくないだろう。
実際、40代までならば、ゴルフをしないということ自体、あまり問題にはならないと思う。客先も自分と同じような年齢の人たちであるならば、付き合い上も支障ない。つまり、ゴルフをしないことが人付き合いの妨げになったり、情報収集力の欠如につながったりということはほとんどないはずだ。
ところが50代になり役職が上がると、状況は一変する。今の日本のビジネス界にあって、(残念ながら)ゴルフは重要なコミュニケーション手段の一つであり続けている。
かく言う私もついにここまでゴルフというものをしてこなかった。私のような仕事であると、目立ってマイナスを感じることはないので、後悔しているわけではないが、プラスが何もなかったことは事実だ。
もちろん、ゴルフをしていたら人事を尽くしたことになるのかというと、それほどの話ではない。20代の頃から、好きでゴルフを熱心にやっていた人間を何人も知っている。では彼らが全員センターに上り詰めたか、上っている最中かと言えば、そんなことはない。必ずプラスがあるとは限らないのは当然だ。
しかし、ゴルフをやることでもし少しでもプラスがあると感じるならば、その努力が実際に実る・実らないにかかわらず、やってみるべきではないだろうか。