トリガーは欧州CO2規制
カギは2種類の規制のバランス感

 冒頭の約25分間、トヨタで駆動関連機器を扱う部門・パワートレインカンパニーを総括する立場でもある寺師氏から、“車両電動化技術に関する特許実施権の無償提供”という題目で説明があった。

 説明の主旨は、「なぜ、いま、トヨタがこうしたことをやるのか?」である。

 寺師氏の言葉を聞いて私なりに解釈したことを順を追ってご紹介する。

 まず、昨今の自動車産業界での技術変革では、電動化、自動運転化、そしてコネクテッド化に関するそれぞれの技術が融合する必要がある。

 その中で、電動化のコア技術とは、モーター、バッテリー、そして駆動の制御を行うパワーコントロールユニットの3点を指す。

 これらについて、トヨタは1997年に発売した初代プリウスから積み上げてきた設計、実験、製造、そしてアフターサービスに関するノウハウがある。これらは特許を公開しても、第三者が一朝一夕にコピ―できるものではない、とトヨタは考えている。事実、自動車メーカー各社は当然、トヨタのハイブリッド関連機器を分解するなどして調査してきたが、トヨタ同様にコストに見合うものを製造販売することは極めて難しいという認識を自動車メーカー各社は持っている。

電動車販売実績とCO2抑制効果を示す図
電動車販売実績とCO2抑制効果を示す図 Photo by Kenji Momota
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 また、トヨタではこれら3つの電動化要素を、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、そして燃料電池車それぞれに併用、または応用できるよう設計している。

 次に、世界市場における動向だ。大局的には、地球温暖化やPM2.5問題など世界各地で深刻な環境問題が表面化している。

 その上で、世界各国・各地域ではそれぞれ独自に、自動車に関する規制を強化しているが、規制には大きく分けて2つの種類がある。