ネットフリックスの「コンテンツ爆買い」を支える資金源の秘密Photo by Yasuo Katatae

全7回で、世界トップクラスの海外企業の英語決算書を読み解いて深い話ができるようになろうというこの特集。第6回は、世界190カ国で動画を配信し、約1億4000万人もの有料会員を抱えるNetflixを取り上げます。Disneyと激突することになった新興企業のサバイバル戦略を探ります。 (ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久) 

8兆円の超大型買収で
Disneyが攻め込んでくる

 713億ドル(8兆円弱)という巨額の買収資金を投じて、The Walt Disney Company(米ウォルト・ディズニー)が動画配信サービス業界に攻め込んでくる――。

 今年3月、Disneyによる21st Century Fox(米21世紀フォックス)の買収が完了。第91回アカデミー賞で最多4部門を受賞した映画「ボヘミアン・ラプソディ」の制作・配給を手掛けるなどしてきた、有力な映画・テレビ部門をその手中に収めました。

 Disneyは今年11月に動画配信サービスへ参入しますが、これで臨戦態勢が整い、「コンテンツ戦争」の幕開けが迫っています。

 このDisneyが仕掛ける「侵食」によって大きな影響を受けるとみられているのが、すでに世界190カ国で動画を配信し、約1億4000万人もの有料会員を抱えるNetflix(米ネットフリックス)です。

 そこで、どのようなバトルの構図になるのかを占うために、2社の事業規模を比較してみましょう。損益計算書(Statements of Income / Profit and Loss Statement、PL)と貸借対照表(Balance Sheet、BS)の基本項目を見比べてみたいと思います。

 ちなみに、この記事だけでも分かりやすく解説するつもりですが、決算書の3点セットである財務3表の基本的な読み方について、第1回の損益計算書(PL)第2回の貸借対照表(BS)第3回のキャッシュフロー計算書(CF)で詳しく書いています。併せて読んでいただけると、さらに理解が深まると思います。

 では、PLから売上高と営業利益、純利益を、BSから負債と資本、総資産を抜き出して2社を比較してみましょう。結果は下記の通りです。

      Netflix:Disney
 PL
 売上高  158億ドル:594億ドル
 営業利益 16億ドル:157億ドル
 純利益  12億ドル:131億ドル
 BS
 負債   207億ドル:498億ドル
 資本   52億ドル:488億ドル
 総資産  260億ドル:986億ドル