18歳になれば「興味」は「オファー」に
FC東京・大金社長の胸中は複雑

 規約上の年齢条件をまもなくクリアするからこそ、周囲も風雲急を告げてくる。文書による正式なオファーは届いていないものの、久保の存在に興味が示されることはあると大金社長は言う。興味があるからこそスカウティングに訪れ、クラブの総合的な判断をへてオファーへとつながる。

 興味がオファーへと変わる際には、正確な情報も必要になる。FC東京と久保との間で交わされている契約の詳細は、まさにその情報に該当する。久保が代理人を付けていないからこそ、懇意にしている日本人の代理人を介して、海外クラブから問い合わせが入るケースも出てきたと大金社長は言う。

「ただ、その件に関しては『お答えする必要はありません』と申し上げています」

 昨シーズンまでの久保ならば、海外のクラブから注目される状況はおそらく生まれなかった。フィジカル面の強さも身にまといつつある中で、攻撃面における稀有なスペックをより高いレベルで発揮できる状況が整い、フォア・ザ・チームの精神も芽生えたことで覚醒の時を迎えている。

 だからこそ、今年に入って2度もバルセロナに関するニュースが飛び込んできた。アントラーズ戦を前に『エル・ムンド・デポルティーボ』の記事を伝えた大金社長によれば、久保は「何なんですかね」と首をひねっていたという。嬉しい悲鳴にも聞こえる言葉を、同社長はこう紡いだ。

「今のチームの好調さは、建英の力もあると思っている。クラブとして今後も建英が必要だということに変わりはないけど、世界に注目されるだろうな、とも感じている。活躍してくれることはもちろん嬉しいんですけど、海外に出したくはない、というのは本音としてありますよね」

 然るべきタイミングで相応しいオファーが届けば、サッカー界に関わる一人として、さらなる成長を期して背中を押すだろう。一方でプロクラブを経営するトップとしては、2011年度の天皇杯を最後に遠ざかっているタイトル獲得を、特にまだ見ぬJ1リーグ戦制覇を久保の成長とともに成就させたい。

 大金社長が胸中に抱く、二律背反するような思いをチームに関わるすべての人々が共有しながら、FC東京は19日に勝ち点17で並び、得失点差でわずかに後塵を拝する首位のサンフレッチェ広島のホーム、エディオンスタジアム広島で序盤戦の天王山となる頂上決戦に臨む。