Place:アイデアをブラッシュアップしてくれる場所選び

 起業家は自分の創造力を高める上で、意識的にか無意識的にか、適した居場所を選んでいるようです。

 例えばパーソナルモビリティの開発で注目を集めるWHILLというスタートアップは、起業前にアパートの一室を借りて「サニーサイドガレージ」という場所を作り、そこに平日夜や休日に集まっていたメンバー同士で起業しています。彼らの主力製品となっているパーソナルモビリティ(次世代型電動車いす)は、このサニーサイドガレージで自由にモノづくりをする過程で生まれたアイデアがもとになっています。

 また、東京大学のある本郷三丁目でも、2000年代後半に生まれたLab Cafe(ラボカフェ)という学生の集い場からさまざまな製品開発プロジェクトが生まれています。インクジェット印刷と銅メッキを用いてフレキシブル基板を印刷するエレファンテックのようなスタートアップを輩出するきっかけになっています。

「フロー体験」などの概念を提唱したことで知られるミハイ・チクセントミハイは、成功した芸術家の多くが「ロフト」と呼ばれる場所を持っていた、という共通点を挙げています。そこでは作品の創作を行う他、パーティーなども開催されていました。こうして他の芸術家との交流が促され、作品に対する意見交換も活発に行われるようになっていたのです。結果、作品や芸術家自身が陽の目を浴びる機会が増え、成功への第一歩を踏み出せたと説いています。

 ですから皆さんも、まずはロフトのような場所へ行ってみる、あるいはそうした場所を自ら作ってみるのが創造性を高める一手になるでしょう。スタートアップに転職してみるのもいいかもしれません。ある研究では、理工系のスタートアップの創業者が創業前に小さな企業に属していると、新しく起業した会社はうまく行きやすいという傾向があると指摘されています。