4号ファンドは4倍以上の評価額に

――4号ファンドではアカツキやメルカリといったIPO実績があります。同じファンドだと、スマートニュースも高い時価総額を付けています。直近の投資実績について教えてください。

高宮 機関投資家の皆さんは「景気がいい時でも、悪い時でも安定的に(投資額の)2倍の数字を出す」という安定感を求めています。安定した結果を出して、10億、20億円と、ファンドを組成するごとに継続的に投資できる状態を求めています。

 もちろん特異的にリターンが出るファンドもあります。それが私たちの4号ファンドでした。具体的な額は言えませんが、115億円のファンドなのですが、すでに4倍以上の評価額になっています。そんな実績を評価してもらい、今回は投資家についてもキャズムを超えて、多くの機関投資家の皆さんに参加していただいています。

今野 昨年12月にファンドレイズ活動を始めて、4ヵ月で360億円が集まりました。また、その3分の2以上は既存のLPで、募集をかけると同時に投資を決めていただいた方々です。ベンチャー投資でも、既存の株主が継続して出資してくださるというのは、実績も信頼もある証しです。今回のファンドは、それと同じようなことが起こっています。またありがたいことに、金融法人についても、オープンイノベーション文脈などの事業部予算でなく、プロの運用部門が資金を出してくださっています。年金基金、大学の基金などが入っていることも、評価いただいた結果だといえるでしょう。

――ゲームやアプリと異なり、「ネットでは完結しない」事業を展開するスタートアップが生まれています。そんな中でどんな領域に投資していくのでしょうか。

高宮 私たちは今回、「First to Last」、つまりレイトシードステージ(創業から少し後)からIPO直前のレイターステージまでに投資をしていくと言っています。ですが基本的にこれまでと投資対象の領域は変わらないと思っています。

ITだけで完結する事業は減ってきていますが、一方で起業家の経営力という観点で見れば、IT業界では今、シリアルアントレプレナーやプロ起業家と呼ばれる人たちが出てきています。変革が難しい既存産業を変えるには、そんなIT出身の人材と既存産業の人材のかけ算ともいえるスタートアップが求められているのではないでしょうか。「国内版タイムマシン経営」と呼べるような事例が出てくると思っています。

あとは大企業からのカーブアウトも増えてくると考えています。今までも大企業の新規事業を切り出すことはありましたが、規模感で言えば普通のベンチャー投資と同じようなものが多かったように思います。GCPの投資実績で言えば、イードやすららネット、ミラティブなどもカーブアウトです。しかし今後は、事業部がまるまる企業の外に出るような規模の案件も出てくるのではないでしょうか。大きなカーブアウト事例では、日本が脈々持ち続ける製造業的な強みと、スタートアップ的な強みのかけ算が生まれる案件も増えるのではないでしょうか。

今野 375億円のうち、300億円は今までと同様に新規投資と追加投資で運用していくのですが、残りの75億円は、これまでよりもさらに厚い追加投資を行うための特別な枠にしていきます。そう考えると、ざっくりと年間50億〜60億円を3〜4年で投資していく予定です。GCPでは特に領域ごとの担当を置いているわけではありませんが、キャピタリスト本人の専門性や趣向性の高い領域ごとに、結果的に担当が分かれているところがあります。こういうことはトップダウンで決めるところではないので。本人の熱量がないと始まりません。