衆院補選で自民党が敗北したことは、何をいみしているのでしょうか。Photo:PIXTA

 沖縄3区、衆院大阪12区の補欠選挙が行われ、沖縄3区は野党が支援する屋良朝博氏が、大阪12区で「日本維新の会」の藤田文武氏が初当選した。維新の会は、大阪府知事・市長の「クロス選挙」に続いての勝利で、「大阪都構想」の実現へ弾みをつけた。また、沖縄ではオール沖縄が支持した屋良氏が当選した。辺野古への新基地建設反対という、沖縄の民意が改めて示されたことになる。

 一方、自民党は安倍晋三首相が2012年に第2次内閣を発足させた後、衆参の補選で初の敗北となった。自民党にとって、参院選を前に危機感を募らせる結果となった。しかし、大阪、沖縄という「特別な地域」で勝利を収めたからといって、左派野党による「野党共闘」や維新の会にとって、参院選に向けて明るい展望が開けたわけではない。

立憲民主党は「野党トーナメント」を
勝ち抜いて政権を目指すべき

 共産党、立憲民主党、社民党などの左派野党による「野党共闘」は、沖縄3区で勝利したが、この結果は、参院選に何の参考にもならない。基地問題を抱える沖縄は「特別な地域」で、安倍政権の「国政選挙5連勝」の間でも、何度か自民党は敗れてきた。野党共闘が通用するのは、沖縄に加えて、震災と原発対応で自民党への批判が強い東北地域くらいだ(本連載136回)。

 大阪12区では、野党共闘の宮本岳志氏が最下位に沈んだ。枝野幸男立憲民主党代表や、玉木雄一郎国民民主党代表が次々と「事実上の共産党候補」の宮本岳志氏の応援をするのは、目も当てられない光景だった。立憲民主党も国民民主党も、左派のコアな支持者を除けば、国民の大多数からの支持がますます減っていくことになるだろう。

 左派野党は、民主党政権の挫折による「寄り合い所帯」への批判を、どれほど甘く考えているのだろうか。安倍晋三首相率いる自公政権が「国政選挙5連勝」を達成したのは、日本の「サイレントマジョリティ」といえる中流層(一般的には「無党派層」と呼ばれる)の「消極的支持」を得ているからだ。それは裏返せば、「寄り合い所帯」の混乱を見せつけ続ける左派野党への徹底的な失望だということが、まだわからないのだろうか(第132回)。