確かに乳幼児は身体の抵抗力が弱いので、衛生面には注意を払う必要がある。年齢が3歳くらいになってくると「雑菌だらけの世界で、いかにたくましく生きていくかを体で学んでいく」でいいのではないかと筆者は考えているのだが、これはまさしく「よそはよそ」なので、Aさんが息子を「キレイキレイ」に育てていることになんら異論はない。

 やや異論を挟みたくなってくるのは、Aさんの論拠その後である。

徐々に明らかになる深層
風刺の効いた妄想

「スマホからはブルーライトが出ているので、それも悪影響です。目が悪くなるし、体内リズムも乱されるらしいし。使用時間と学力の低下にも相関関係があるそうですよね」

 ここまではまだ大丈夫である。

「そういうのって研究でわかっている範囲の事柄なので、まだわかっていない範囲を含めると、本当のところどれほどの影響があるか、絶対的なところはわからないじゃないですか。

 それにWi-Fiの電波だって人体にどれだけ影響があるのかわからない。体がある程度成熟してしまえば問題なさそうですが、未発達の子どもには危ない気がします」

 主張が段々とオカルトじみてくるが、共感できる部分もある。通信電波が飛び交いまくっている昨今、電波による人体への長期的な影響は、コンタクトレンズなどと同じであと数十年たたないと科学的なデータが取れないのでなんともいえず、でも「まあみんなそれの影響受けてるわけだし、一応世界的にもオッケー出てるし、気にしても無駄でしょ」となんとなく納得して生活することを人々は余儀なくされている。Aさんはそんな世の中に対して真っ向から異を唱えているわけである。

 しかしAさんの思考を掘り下げていくと、興味深い考えに取りつかれていることがわかった。

「これは人に話すと笑われるんですが、ああいう系の電波って、『ずっと浴びていると無感情になってロボットみたいになるんじゃないか』って思えて怖いんです。だから息子になるべくスマホは触らせたくない。息子の成長期が終わった中学生、高校生くらいになったら考えます」