数ある職業の中でも、国会議員秘書の「ストレス度」は非常に高いことが知られている。実際、国会議員による秘書へのパワハラ問題などはしばしばメディアの報道でも話題となっている。そもそも国会議員によるパワハラ、セクハラはどうして起きるのだろう。(ストレス・マネジメント研究者 舟木彩乃)
特に「政策担当秘書」はいじめられやすい
私は、国会議員秘書(以下、議員秘書または秘書と略す)のストレスについて研究しており、自分自身が議員秘書をしていた経験もあります。国会議員(以下、議員と略す)が秘書に“八つ当たり”するのはよく知られていることで、私自身も何度かそういう光景を見てきました。
私の研究では、250人以上の議員秘書からアンケート調査やインタビューにご協力をいただきましたが、秘書に対する議員からの罵倒や暴行などの“いじめ”は確かに少なくありません。その中でも、器の小さい国会議員のデキる秘書への“嫉妬”からくる“いじめ”は、かなり陰湿で根が深いようです。
最初は、優秀な秘書に政策立案や質問作成をしてもらってウィンウィンの関係だったのが、だんだんと議員がデキる秘書に嫉妬するようになり、暴言を吐いたり、物を投げつけたりするようになっていきます。優秀な女性秘書に対する嫉妬から来るセクハラも、相当ひどいものがあります。
そんな議員が今年の夏の参議院選挙に、また出馬しようとしています……。
もちろん、秘書から尊敬されるような人格者もいますが、やはり少数派です。器の小さい国会議員には、オーナー企業の独裁的な社長や面倒くさい上司との共通点もありそうです。
実際にあったケースをご紹介したいと思いますが、その前に、簡単に議員秘書制度、特に議員から嫉妬を受けやすい政策担当秘書について説明します。
そして、このような秘書や部下に嫉妬し、いじめるような「器の小さい人物」の心理背景や対処法をお伝えしたいと思います。