Aが姿を見せず
GW明けの総務課ざわつく

 GW明けの火曜日、いつもは静かな総務課が昼過ぎからざわついた。Aが出社してこないのだ。慌てたB課長は、Aの携帯や実家に何回も電話を入れた。そして夕方、ようやく連絡がつき、話をすることができた。

「どうして今日は会社に来なかったんだ?」

 すると、Aは悪びれる様子もなく答えた。

「俺、今日会社辞めたんで、もう連絡しないでいいかなって」
「どういうことなんだ?」

 Aはここぞとばかり、これまでの不満をぶつけた。

「総務課の雰囲気は最悪です!いくら聞いても先輩たちはろくに仕事を教えてくれないし、口もきいてくれません。お互い挨拶さえもしないんですよ。ヤバくないですか?」

 Aの言い分を聞いたB課長は驚いた。黙々とソツなく仕事をこなす課員たちを優秀だと思っていたからである。しかし、Aの考えは真逆だったのだ。B課長は取り繕うように言った。

「君の言い分はわかったが、いくら何でも今日辞めるなんて勝手すぎやしないか?」
「まだ試用期間中なので、いつ辞めてもいいじゃないですか!それに今日から乙社で働き始めたので、甲社へはもう行きません」
「なんだって!!!」

 電話を切ると、B課長はショックで頭の中が真っ白になった。

「ウチを辞めていないのに他社に就職しただと?こんなこと前代未聞だ!どうしよう…」

試用期間中の電話で「辞めます」発言、
社労士はB課長にどう告げたのか?

 翌日出社したB課長は、すぐさまD社労士に電話した。

「今日一緒に飲みに行く約束だったが、急な仕事が入って行けなくなった」
「どうしたの?」
「ウチの部署に配属された新人が、昨日から急に来なくなったんだ」

 D社労士は、事情を察した。