この消費増税がバブル崩壊にどのような影響を与えたのか。

 1989年の消費税創設(税率3%)がバブル経済の崩壊のきっかけになったのかといえば、まったく違う。

 4月に消費税が導入されても、経済は好調そのものでバブルは加速すらしていた。

 その当時の大蔵省の対応はかなりまともであり、消費税創設を前に、所得税減税などを先行して行い、その上で、物品税の廃止も行っている。

「増減税中立」の税制改正にしたことで、消費税創設でも経済への悪影響はまったくといっていいほどなかったのだ。

 財政状況も、バブル景気により税収が増えたことで改善しており、1989年の赤字国債発行額はわずか2000億円。90年には赤字国債依存から脱却し、95年に赤字国債の発行を再開するまで、赤字国債の発行は基本的になかった。

 財政状況が良好だったので、所得税減税や物品税廃止などをする余裕があり、消費増税の経済への悪影響は避けられたのだ。

 一方で、ひどかったのは日銀である。

 当時の三重野日銀総裁は、バブルつぶしと称して、不必要かつ過剰な金融引き締めを行った。「平成の鬼平」とマスコミから持ち上げられたが、急激な金融引き締めはバブルをつぶすばかりか、実体経済もつぶした。

 バブルは、株価と地価が異常に値上がりしたもので、一般物価の上昇率は3%にも達していなかった。

 この失敗は、当時、もし今のような「2%インフレ目標」があったらという思考実験をしてみればわかる。

 インフレ率が高くなっていなかったので、金融引き締めはまったく不要だったはずだ。

 それなのに日銀官僚は間違えないという“無謬性(むびゅうせい)神話”があるために、この金融引き締めは正しいものとして考えられ、その後も平成時代の最後、黒田総裁の異次元緩和に転換するまで、日銀は引き締め基調が継続した。

 筆者はそれが、「平成デフレ」の引き金であり、デフレが長引いている元凶だと考えている。