早期業績回復が
西川体制の当面の命題

 日産は、西川社長の続投を前提に5月16日付の役員陣容を発表した。空席となっていたCOO(最高執行責任者)に山内康裕CCO(チーフ・コンペティティブ・オフィサー)、副社長に川口均専務執行役員と星野朝子専務執行役員、中畔邦雄R&D担当専務執行役員が昇格して西川体制を支えることになる。ある意味でルノーを牽制した役員陣容だが、いささか小粒の感は否めずポスト西川への人材登用が見えないのは残念だ。

 というのも、山内新COOは地味な存在だし、川口新副社長はゴーン時代から渉外畑を長く担当してきた人で経産省や内閣官房等との人脈が西川社長にとって頼りか。星野新副社長は、ゴーン社長時代にマーケティングのプロとして日産入りし、これまで国内販売を担当してきたことで営業を統括する。

 すでにゴーン体制で重要なポストにあったホセ・ムニョスCPO(チーフ・パフォーマンス・オフィサー)が1月で退任(最近、韓国・現代自動車COOに就任の報道)し、グローバル営業を統括してきたダニエレ・スキラッチ副社長も5月15日付けで退任するなど、“ゴーン派”が一掃されている。

 6月の定時株主総会後の取締役会は、議長にガバナンス改善特別委の共同委員長を務めた榊原前経団連会長(元東レ社長)が横滑りし、副議長にスナール・ルノー会長が就くことが予想されているが、榊原氏の取締役会議長は西川体制とのなれ合いではとの懸念の声もある。社外取締役も適切な人物による陣容となるか、注目されている。

 いずれにしても、脱ゴーンで西川日産体制での方向が進むことになるとみられるが、何といっても本業の立て直しが大前提となる。米国事業の抜本的な対応に欧州・日本事業の強化と課題は多い。

 ルノーとの資本構成の“ねじれ”打開や、仏政府サイドのルノーとの統合意欲に対抗するためにも、なおかつこの「自動車大転換時代」を生き抜くためにも、日産の早期業績回復が西川体制の当面の命題となる。そして“ゴーン騒動”の一連の責任を取って、ポスト西川への経営のかじ取りを移譲していくことも新生日産につながっていくのではないか。

(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)