ここからが大切なのですが、リタイアして暇だからというだけではありません。老若を問わず、それらの節目をきっかけに、今までの自分を振り返り、新たな方向性を考えることが可能になると思うわけです。

 最も典型的なのが、正月。「1年の計は元旦にあり」は日本人ならとてもわかりやすい感覚ですが、元旦だからといって別に特別な日なわけではありませんよね。それでも、私たちはこの日をとても大切にしています。この感覚を大切にしようということです。「書き初め」もそのための1つの方法であるわけです。

 お正月だけではなく、例えば、春分の日を機会に「もう春だから、くよくよするのはやめよう」とか、端午(たんご)の節句に「夏までに5キロ痩せよう!」などと決意してみるのも悪くありません。

 まあ、そこまで重く考えなくとも、節目は、様々な喜びを味わうよいきっかけともなるものだと思っています。

季節を身近に感じられるのは
素敵なこと

 皆さんは二十四節季(ないし節気)を意識したことがあるでしょうか。

 黄道上の太陽の動きを夏至と冬至、さらに春分と秋分で四等分し、それぞれの真ん中に立春、立夏、立秋、立冬を置きます。これで1年が8等分されますが、これをさらに3等分していきます。つまり、1つの節季は15日、半月というスパンになるわけです。

 中には雨水(2月19日前後)や芒種(6月6日前後)、白露(9月8日前後)などなじみの薄いものもありますが、啓蟄(3月6日前後)や大寒(1月20日前後)といったなじみのある言葉も出てきます。

 以前、ある友人と二十四節季ごとに会って酒を飲むというイベントを1年ほど行ったことがあります。半月ごとに飲むというのは意外と大変で、1年続けるのがやっとでしたが、貴重な経験でした。

 二十四節季は旧暦によっていますから、立春が2月4日頃で、立秋が8月8日頃というように、今の季節とは実質2ヵ月ほどズレています。そこを自分たちの中で調整することは必要です。また異常気象の影響で、日本の四季もだいぶ崩れてきていますが、意識してみると、たった半月でも季節は確実に変わっているということがわかりました。

 虫の音を聞くにつれ、月の動きを見るにつけ、大都市の東京にいても、古き良き時代の日本人の情緒をわずかですが、感じることができました。