地表から約3万5400キロの軌道を一群の人工衛星が周回している。これら衛星は米国製だが、米国に不利益を及ぼす形で中国政府に利用されている。これら衛星のうち9基は、南シナ海の島々に展開する中国軍の兵士らと連絡を取るためであったり、社会不安を抑え込むべく警察力を強化したり、国家の宣伝を広範囲に確実に浸透させたりするのに役立っている――。企業の記録や株式市場への報告書、幹部らへのインタビューを通じ、そうした実態が明らかになった。ボーイングが製造中の10基めの衛星は、米国の全地球測位システム(GPS)のライバルとなる中国のシステムを強化することになる。このシステムは民生分野での利用に限らず、ミサイルを誘導するなど紛争が起きた場合にも中国を利する可能性がある。