注文すると、またいなくなり、飲み物を持ってきたら、またいなくなる。ようやく、食事のメニューを携えてやってきたかと思えば、また「さあ、今すぐご注文をどうぞ」という体で、そこに立っているのです。

 カジュアル店と高級店。詳しく分析してみると、これら二つのサービスは、真逆に組織化されていることがわかります。

 にもかかわらず私たちは、提供されるものが少ない高級店のサービスを受けることで、十分に満足感を覚えるのです。

「ホスピタリティ」本来の意味は
敵意ある見知らぬ者に対して力を持つこと

 さて、これまでサービスについて述べてきたわけですが、このテーマを扱うからには、当然触れておきたいことがあります。

 冒頭で言及した「おもてなし」のこと。

 滝川クリステルさんは、東京オリンピック招致のプレゼンで「おもてなし(=ホスピタリティ)とは、心のこもったサービスをして、お客さんの居心地をよくすることである」という趣旨のことを述べています。

 では、語源から見る「ホスピタリティ」とは何でしょう?

 これはフランスの言語学者、エミール・バンヴェニストによると、ラテン語の「hospes(ホスペス)」がもとになっています。「hospes」は「hostis(ホスティス)」と「pets(ペッツ)」という二つの言葉が合わさったものです。

「hostis」は「見知らぬ者」の意味で、「敵意ある見知らぬ者」という意味である「hostilis(ホスティリス)」につながります。「pets」は「力を持つ」という意味です。つまり、二つを組み合わせた「hospes」は、

「敵意ある見知らぬ者に対して力を持つ」

 という意味になり、言語的に考えるならば、これが「ホスピタリティ」の本来の意味であるはずです。