>>(上)より続く

 一方、ミュージシャンのCさん(41歳男性)は、20歳の頃からなんとなくこの界隈で生活できてはいるがブレークしたことはなく、共働きで会社勤めの妻にいつも引け目を感じながら生きている。

 たまに卑屈な気持ちにスイッチが入ると「呼吸ができているのも妻のおかげ」と思うこともある。妻は「気にする必要はない」と言ってくれてはいるものの、である。

「妻の実家のお義母さんが、結婚後は月イチのペースで、お米、野菜、カップ麺などの食料を送ってきてくれるんです。それと自宅にもよく電話をかけてきてくれて、私が出た時はそのまま応対するんですが、すごくこちらのことを心配してくれるんです。

 食料や安否を慮る気持ちはすごくありがたいんですが、たまに“卑屈スイッチ”が刺激されて、『俺がフリーだからこんなに心配かけてしまうんだな……』と暗い気分になることも(笑)。実際に妻の実家にどれだけ心配をかけているかはわかりませんが」(Cさん)

 良いところ悪いところ、楽しいところ煩わしいところを全部ひっくるめての人間関係である。結婚で新しく生じた「嫁の実家」との人間関係が時として頭を悩ませることもあるのは妥当であろう。

子どもの世話をしてくれる妻実家
子育て方針に違和感

 Dさん(43歳男性)は色々なことにこだわりがなかったから、家族のことはやりたいことがはっきりしている妻におおむね任せていて、その意味でバランスの取れた夫婦であった。住む場所も妻が決めたし、今のライフスタイルもほとんど妻が構築したものといっても過言ではない。Dさんは妻の指示に従って言われたタスクをこなしてきたのであった。