チキンラーメンとカップヌードルイノベーションは、突拍子もないことを考える「奇人」だけではなく、一隅を照らす 人材がいなければ実現は難しい

 3月末で放映が終了したNHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」は、新しい市場を創造するような画期的な商品を世に送り出すには、本人の資質だけではなく、周囲の“役者”が欠かせないということを示しており、非常に興味深かった。

 ドラマに登場する立花萬平は日清食品創業者の安藤百福氏、萬平の妻の立花福子は、安藤氏の妻の仁子(まさこ)さんをモデルにしている。安藤氏は、戦後間もない食べ物の乏しいころに、お湯をかけるだけで食べられる即席ラーメンを発明し、日本中の家庭の食生活に革命をもたらした人物。世界中で食されている「カップヌードル」を開発したのも安藤氏で、日本で五指に入る稀有の発明家といえよう。

 ドラマを見ると、実在の人物だけあって、萬平の発明家としての人となりがよく描かれている。

 まず純真さ。「世の中のためになるものを作り、人々を幸せにしたい」という思いで突き進む萬平の姿が印象的だ。「皆が大好きなラーメンが、屋台でなく家庭で簡単に食べられるようにならないものか」と、疑問を真正面から問う、社会常識にとらわれない「変わり者」であったことも、ドラマの随所で感じられた。