先行投資を回収できなければ、成長戦略が根本から揺らぐことになりかねない。すでに失敗事例がある。日立に先行して産業用IoTのプラットフォーマーになるとぶち上げた米ゼネラル・エレクトリック(GE)の事業構想が、掛け声倒れになっているのだ。

 GEの挫折の一因は、巨額投資を行ってソフトウエアを開発したが、それを売る仕組みが整っていなかったことだ。

IoT市場争奪戦はこの3年が重要

 もちろん、日立とてGEの挫折を研究し尽くしているだろうから、同じ轍を踏むつもりはあるまい。これまでもルマーダの販売体制整備を「最重要課題」に位置付け、国内外で人材を育成してきた。

 だが、同じくIoTプラットフォーマーを目指す独シーメンスや巨大IT企業などとの市場争奪戦が激化する中、日立に残された時間は多くない。

 東原社長は「この1~2年で顧客にサービスを届ける体制を確立する。新中計最終年度は刈り取りのフェーズだ」との認識を示し、スピードアップの重要性を強調している。

 09年3月期決算で7873億円の最終赤字を計上し、倒産の危機に瀕した日立は、旧来型の製造業からの脱却を進め、いよいよシーメンスなどグローバル企業への挑戦権を得た。

 勝負の舞台に上がるからには勝たなければ意味がない。経営危機後の経営努力が実るのか、水泡に帰すか――新中計の3年間、日立の分水嶺に立つことになる。

(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)