日立製作所が家電事業のテコ入れに乗り出した。家電が使われる屋内だけでなく、自動車内でもデータ活用によるソリューションの提供を目指す。だが、目指す領域には米グーグルなどが待ち受けており、再建は簡単ではない。
日立の家電事業はテレビの製造、販売から撤退するなどして、かつて1兆5000億円超あった売上高が5000億円まで縮小した。営業利益は4%台と低迷しており、いつ撤退や再編の対象になってもおかしくない状況だ。
それでも家電事業を存続させてきたのは、家電から暮らしの情報を収集できるからだ。日立はデータの宝庫である冷蔵庫で国内シェアトップ、洗濯機、掃除機でパナソニックと国内首位を争う。こうした普及率の高さをあらゆるモノがネットにつながるIoT関連事業に生かせれば大きな商機となる。
日立は4月1日、家電を設計、製造する子会社、日立アプライアンスと販売会社を統合し、日立グローバルライフソリューションズを立ち上げる。製販一体で機敏な商品開発を行うためだが、日立の本気度は組織再編よりむしろ家電事業のトップ人事に表れている。