米連邦準備制度理事会(FRB)のラエル・ブレイナード理事は先頃、日本銀行が実施している長期金利に明確な誘導目標を設ける金融政策について、FRBも検討すべきか問題提起した。ブレイナード氏が最初ではない。リチャード・クラリダ副議長も2月、同様の指摘を行っている。この政策の利点は、中銀がリセッション(景気後退)や回復局面で、長期債の利回りを低水準に維持できることだ。FRBが日銀から「お知恵を拝借」したのはこれが初めてではない。だが今回は、FRBは日銀と同じ条件がそろっておらず、日銀の先例に倣うことは難しいだろう。日本の債券市場は米国と比較して極めて変動が少ない。しかも、日銀が2016年に「長短金利操作(イールドカーブコントロール=YCC)」を導入するかなり前からそうだった。過去20年における米10年債利回りの変動幅は、日本の10年物国債に比べて4倍も大きい。