テスラの運転資金、「航続距離」延長は期待薄Photo:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 テスラが最近実施した資金調達を巡り、投資家は経営の「航続距離」が伸びると期待すべきではない。

 テスラは5月に入り、転換社債と株式の発行で合計27億ドル(約2950億円)を調達した。資本市場での資金調達は2017年8月以来となった。前回から2年近く間隔が空いたが、2010年の上場以降で資金調達の間隔がこれほど長く空いたのは初めてだった。だが、次回の資金調達もそのくらい長く待てるとすれば大きな驚きだろう。

 新たな資金調達をしない場合にたどりそうな軌道を考慮すれば、テスラの財務を立て直すというイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の決断は確かに正しかった。1-3月期の車両販売台数は前期比31%減に落ち込み、現金燃焼(フリーキャッシュフローの赤字幅)は10億ドルに近づいた。これにより3月末時点の手元資金は22億ドル、買掛金は32億ドルとなり、長期の成長物語ばかりか中期的な生き残りまでも強く疑問視されるに至った。

 テスラの株価は低迷し、資金調達をしても持ち直せなかった。テスラ株は年初からこれまでに3割近く下落している。過去には、新株を発行すればたいてい株価が急伸した。今回の資金調達は債権者の不安払しょくにもつながらなかった。償還期限2025年のテスラの無担保優先債利回りは、同年物の米国債利回りを約600ベーシスポイント(bp)上回り、過去最高水準に近い。

 理由の一つとして、EVの高級車と大衆車のいずれの市場でも、手ごわい競合が背後に迫っていることがある。その大半は、環境目標を達成するため薄利あるいは全く利益を生まない事業も吸収できる従来型の自動車大手によるものだ。