MMTでは、政府は自国通貨を無制限に発行できるので政府債務が増えても問題がないとするが、そうなのだろうか。

 現実には、過去にデフォルト(債務不履行)に陥った国は少なくない。2001年のアルゼンチンや2015年のギリシャなどの例がある。

 ギリシャは、EUの一員で、単一通貨ユーロを採用し自国で通貨を発行できなかったと言われればそうだが、EUに入る前にも破綻している。

 カーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフ著『国家は破綻する』によれば、1800年以降の200年余の歴史の中で、ギリシャの債務不履行と債務条件変更の年数は50%を超える。

 いうなれば、2年に1度は破綻している国で、ユーロ採用前から自国通貨でも破綻している。破綻(債務不履行と債務条件変更)の常習国なのだ。

 これに対し、米国のMMT支持者は、世界の基軸通貨ドルで借金ができる米国はドルを刷ればいいので、財政破綻はあり得ないと主張する。

 理屈ではそうかもしれないが、こうしたMMTの考え方は、当の米国の主流経済学者から批判されている。

リフレ派と似た考え方だが
数式モデルがない弱さ

 通常の経済理論は、誤解のないように数式モデルで構成されているが、MMTには情緒的な記述ばかりで、数式モデルがないからだ。

 筆者も、関連の文献を読んだが、さっぱりわからない。米国の経済学者もおそらく筆者と同じ感想であり、論評する以前の問題ということなのだろう。

 一般の人には数式の有無は関係ないだろうが、専門家の間では重要である。例えば、相対性理論を数式なしで雰囲気で説明することはできるが、数式なしでは正確なGPSは作れない。

 一方、日本では、MMTが、リフレ派と混同され同一視されることが少なくない。

 筆者を含め経済学者の一部はリフレ派といわれて、これまでも、政府と日本銀行を一体と考える「統合政府」では、財政再建の必要性はないとか、インフレ目標までは財政赤字を気にする必要ないなどと主張してきた。

 これは確かに、現在、MMT論者の主張とかなり似ている。