そもそもアメ横商店街は、食品と非食品が屋外と屋内でエリアを二分するという特殊な構成だ。そのため、食べ歩きをする客が非食品エリアの商品を汚す問題が深刻になっている。飲食の本格的な“解禁”になかなか踏み切れないのはそのためだ。「無邪気な中国人観光客が商品の魚や果物を指で押したり、子連れ客が屋内エリアで“かくれんぼ”をしたりする」(衣料品店経営者)といったようなトラブルも頻繁に起こる。

「トイレ問題」も深刻で、入れ代わり立ち代わりの利用者が絶えないコンビニは、ついにトイレ利用を全面禁止にした。商店街には公共トイレもあるが、ふたや便座を壊されることもたびたびで、ひどい場合は路上で致してしまうケースさえあるという。

 一方で、アメ横を訪れる日本人客は減少している。「週に3回は来ていたお客さんも、週に1回や10日に1回の来店頻度になってしまった」という声や、「常連客を失った」などの声もある。

 アメ横商店街はあたかもにぎわっているかのように見えるが、アメ横の店主たちはマナー問題解決のために割く時間やコスト、さらには精神的な苦痛で疲弊しきっている。また、一部の経営者は“アメ横不況”は「インバウンドでは回復できない」ことに気づき始めている。揺れる経営者の心情だが、千葉さんはこれを見過ごすことができない。

「アメ横の不景気の原因はなんなのでしょうか。それぞれの店舗の問題か、それとも商店街全体の問題なのか。もっと話し合いたいし、知恵を絞りたい。『あきらめて貸しに出す』ではあまりに惜しい」

 昭和、平成と時代の荒波をかいくぐり、令和を迎えた今、アメ横商店街も時代の転換点に直面している。70周年の節目だからこその、活発な議論を応援したい。

(ジャーナリスト 姫田小夏)