戦後はじめて、日本で死亡数が出生数を上回ったのが2005年。翌年は持ち直したものの、2007年からその傾向は固定し、日本の人口は減少局面に入った。言いかえれば、多死社会に突入したということだ。
人口の高齢化が進む中、今、多くの週刊誌が取り上げているのが「死後の手続き」についての記事だ。各誌、手を変え、品を変えて、高齢の親や配偶者など、身近な人に万一のことがあった場合の手続きについて紹介している。
実際、身近な人が亡くなると、残された家族は、葬儀などの手配とともに、行政関係への届け出のほか、社会保険の資格喪失、公共料金の名義変更などの手続きに追われることになる。
なかには、届け出の期限が定められているものもあり、「知らなかった」では済まされないものも多い。医療関係の手続きもそのひとつで、うっかり手続きし忘れると損してしまう。今回は、医療費にまつわる死後の手続きについて確認していきたい。
健康保険の資格喪失手続きは
死亡後5日、または14日以内
生まれると、出生届が提出され、戸籍にその名前が記載される。戸籍は親子や夫婦などの身分関係を証明する公文書で、戸籍を登録することで、国家がその存在を確認し、納税などの義務を課す一方で、教育や医療などの公共サービスを提供する対象として認められる。
死亡すると、生前に有していた義務や権利は消滅するが、これを管理しているのも戸籍だ。戸籍法の第八十六条、第八十七条では、亡くなった人と同居していた親族や同居人などに、死亡の事実を知った日から7日以内(国外の場合は3ヵ月以内)に、死亡届を提出することを義務づけている。