起業家と一緒に会社を創業するつもりで伴走する

――「起業家の目線に立つ投資家」としての活動が功を奏した事例を教えてください。

和田 ソーシャルゲームなどの攻略情報プラットフォームを運営するGameWithですね。設立からわずか4年でマザーズ上場を果たしました。

村田 私は、社外取締役として同社に参画しましたが、代表取締役社長の今泉卓也さんとは創業前から密接に関わってきました。今泉さんはもともと、Incubate Campの参加者が2011年に立ち上げたゲーム会社のCTOでした。この会社は残念ながら2年もたたずに解散することになったのですが、そのスケジュールを調整している際、私から今泉さんに「もう一度挑戦しませんか?」と提案して、お互いにアイデアを持ち寄って設立したのが、GameWithです。

 創業した最初のオフィスは閑静なマンションの一室でした。私も何度もオフィスに通い、事業アイデアのブラッシュアップやチーム作り、資金調達をはじめさまざまなお手伝いをさせていただきました。一緒に会社を創業するつもりで伴走してきた企業がここまで大きくなってくれたのは、とても嬉しいですね。

和田 もちろん、全ての投資先にここまで積極的にコミットできているわけではありません。例えば、アプリ開発系のベンチャーに500万円だけ投資する、といった関わり方もあります。いろいろな引き出しを持ちつつ、なるべく起業家に適した投資手法を選択しています。

投資家にも、「選ばれるヒリヒリ感」を味わってほしい

――ここまでで何度かお話にも登場したましたが、インキュベイトファンドの取り組みの中でも特徴的なのは、Incubate Campです。

和田 弊社が創業した2010年にスタートしたこの取り組みには、累計で200人以上の起業家が参加しました。その中にはラクスルなどのエグジットを果たした企業も含まれます。

 業界の規模やトレンドの変化に合わせて、その役割も変化しています。開始当初はまだシードVCの数が少なかったので、投資を求める起業家と最適なパートナーを接続することが目的でした。例えばゲーム系のベンチャーなら村田、BtoBサービスなら赤浦といった具合です。その後、参加する起業家の増加にともなって外部VCとの連携も増えていきました。

村田 今では弊社のイベントというより、最前線で活躍する投資家と起業家のコミュニティになっています。我々としても、起業家には多くの選択肢からなるべく良い投資家を見つけてほしい。普段は選ぶ立場になることが多い投資家も、ここでは選ばれる側としてのヒリヒリ感を味わっているのではないでしょうか。

和田 プログラム内容も、起業前にみんなでアイデアを練る人が多かった初期に比べて、シード期のベンチャー企業がこれからの成長戦略を考えるニュアンスが強くなっています。近年は起業家やシードVCが増えてコミュニティ自体はたくさんあるので、皆でホームランを出すことを意識したネットワークやプランニングの場になるべく力を入れています。