もちろん、最初は遠慮されます。しかしそこは「慣れていますから、大丈夫です。いつもやらされていますから(笑)」というふうに自然と手伝いを常態化させていきました。そうすると、「ああ、この人はポーズではなく、本当にやるんだ。しかも慣れている」ということが伝わります。

 そうなると周りから自然と質問が出てきます。例えば「ご自宅でもやられているのですか?」と聞かれるわけです。

「やっていますね。もちろん、やらされているわけではないですよ。食器洗いも含めて、僕は料理が好きなんです。食べるのも好きでね。だからこんなお腹になってしまったのですが…(笑)」などと答えます。

 すると次は「どんな料理をするのですか?」となります。ここで「イタリア料理だ」「フランス料理だ」という話は避けないとダメです。なぜなら「都会の人は違うね」と引かれてしまうからです。

 私の場合は、「惣菜料理ですね。冷蔵庫を開けて、あるものを使って15分で3品作るのを目標にしています。得意なのは、前の晩のおかずの残りをどう使ったのかわからないように、アレンジして違う料理を作ることかな」と答えます。これは本当のことです。

 そこからいろいろな質問に飛び火します。

「こちらの料理は口に合いますか?」「合うも何も、同じ関東じゃないですか。皆、おいしいですよ。特にひもかわうどん(*)が絶品ですね」。これも本当のことです。嘘を言ってはいけません。

 そうなると、必然的に「そうですか。おいしいところがあるので、今度行きましょう!」となるはずです。

 そんなふうに、自然と質問を誘発できればいいのです。

*群馬の郷土料理の1つで、幅が広くて薄い麺。

(明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田 稔)