つまり、これから仕事と向き合うときに欠かせない基本姿勢は、発想を変え、自分を変えていくこと。身近なところで言えば、「満員電車での通勤から解放されたい」という思いがあるなら「少し早く起きて混む前にオフィスへ行く」「オフィスで働くというスタイルを変えてしまう」といった選択肢が思い浮かぶでしょう。どの道を試すにしろ、あなたが自分で決め、行動しなければ始まりません。そして、不都合が生じたときも受け止める覚悟が必要です。「誰かにやらされている」という発想では、人生を前向きに変化させることはできません。会社に自分の価値を提供しているというスタンスに立てば、依存することもなくなり、愚痴がこぼれることも減っていきます。

 雇われているサラリーマンであるという感覚でいると、受け身の姿勢で言われたことをやるという発想から逃れることができません。同じ仕事をしていても、見方を変える、発想を変える、取り組み方を変えることで、楽しく働くことができるようになります。特に50代以降は会社後の人生も見えてくる時期です。組織という後ろ盾がある状態を活用しながら、次のステップに向けた準備を始めていきましょう。

 また、わたしは、これまで多くの一流と認められている料理人やシェフの人たちをインタビューしてきました。話を聞くと、彼らにも他の料理人やシェフと同じく新人時代があったのだ…という当たり前のことに気づかされます。スタート地点では他の新人と大きな違いはなかったはずが、一流と認められている人たちは途中で進化を加速させていくのです。

 その差はどこにあるのだろう? と疑問に思いながら話を聞いていると、決定的な違いは仕事との向き合い方にありました。たとえば、調理を進めていく上で、魚をさばくという工程があります。進化していく料理人は、魚をさばくことを「仕事」として捉えています。一方、進化できない料理人は、調理の工程上の「作業」として魚をさばいています。今、取り組んでいることを仕事と捉えるか、作業としてこなすか。この考え方の小さな差がキャリアの決定的な違いを作っていくのです。