「クリエイティブは楽しいですねっ! 作りだすっていうことが」

石黒 若い人たちは、その状況を、SNS、ネット、イベントなどでしっかり体感しますが、そんな人たちも、ソロとなった蘭さんの歌を聴いてもらいたいです。

伊藤 ありがとうございます。今回、作詞をしたこともあって、再認識したんですが、クリエイティブは楽しいですねっ! 作りだすっていうことが。

石黒 そしていつまでもみんなに歌を聴かせてください。僕は、ずっと昔から、いつまでも長生きしないとキャンディーズのCDを聴き続けられない、蘭さんの舞台を見られない思って健康には気をつけるようにしてまして。

伊藤 ならば、私も健康に気をつけて歌っていかないと、ですね。

石黒 よろしくお願いします。これからは、さらに歌声を聴いていけるという幸せな状況が訪れたのでなおさら、長生きしないとと。僕は蘭さんの6歳下なので、100歳になったら蘭さんが106歳。永遠に「6個上の素敵なお姉さん」として憧れ続けたいのですから、長生き比べでは頑張らないと!

伊藤 あはは! 私もがんばりますね。

石黒 今日は、3度目の光栄な時間、ありがとうございました! 

伊藤 こちらこそ、ありがとうございました。

石黒 あの、最後に、1ファンからとしてなんですが、これをプレゼントしたくて……。

伊藤 あははははははははは!!

 (蘭さんのあまりの爆笑にスタッフ一同がのぞき込む)  

 ラン助じゃないですか! 

石黒 はい。面白いかなあと思って。キャンディーズのレギュラー番組「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」のコントコーナーで、蘭さんがやっていた悪ガキの……。

伊藤 10円ハゲのカツラをかぶった……!

石黒 解散が決まったあとの、あのお決まりのコントのオチ「世界の大女優をめざして」の<女優>部分を<歌手>に画像加工してみました。3月14日にソロ歌手デビューのニュース知った瞬間に、このネタひらめきました!

伊藤 面白いこと考えますねえ~。

石黒 これはぜひお収めいただきたいというお願いでした(笑)。

伊藤 ではありがたく、いただきます(笑)。

 (インタビュー終了で撮影に入り)

石黒 ふー、ありがとうございました。めっちゃ緊張して、1週間前からむしろ早く終わらないかなとか……。

伊藤 そうですか? 全然そう見えませんでしたよ。スタッフの方々もそう言ってますよ。

石黒 いえいえ、11年前は無我夢中だったせいか、今回のほうがド緊張しました。この仕事始めて35年。どんな大物に会っても緊張と無縁の僕なのですが、ただおひとり……。いやあ、きつかったです。

伊藤 楽しかったですよ。また機会がありましたら、ぜひよろしくお願いしますね。

 (蘭さんお部屋退出)

石黒 は、はい。 (さらに緊張で終了)

[余談的に。インタビューを終えて石黒からの思いです]……

 僕が中学1年になったばかりの73年4月7日。

「8時だョ! 全員集合」のオープニングに画面の端にチラッと映る3人組の醸し出す親近感に吸い寄せられ、一発で虜になりました。そして高校時代の2年間、ビタ1分も勉強せずに、キャンディーズのライブを見るためにバイト三昧、レコードを聴いて出ている雑誌を読み漁りと、掛け値なしに青春を懸けてきました。
■参考記事<石黒謙吾のキャンディーズ関連ネタ=取材受け用>

 解散から4年経った82年5月、雑誌『宝島』のインタビュー記事で、女優に復帰後の蘭さんがこう話しています。

<10代に夢中になったものは、キャンディーズ以外にないですね。

 私たちがキャンディーズというよりも、私達もキャンディーズを支えているスタッフの一部みたいな感じがあって。

 ミーハー的なファンっていうのも大部分だったでしょうけども、割と、私達の生き方そのものを見ようと、努力してたっていう人たちがいたから、恵まれていましたね。>

 3人は3人でキャンディーズに青春を懸けたのと同じように全国には僕と同じように、青春をキャンディーズに賭けた大学生、高校生、社会人の若者もたくさんいたわけです。

 僕はそのため、いろいろドロップアウトして大学にもいかなかったのですが、出版の道を選んだのも、いつか「ランちゃん」に会えたりする奇跡が起こるかも、との夢想からだけの選択でした。

 そして11年前の2008年にその夢は実現します。解散から30年目、浪人30年で東大にトップ合格した気分でした。それ以降、仕事はがんがんやってはいたものの、精神的には完全な「余生としての仕事」という気持ちでもいたのです。

 しかし今回またこういう機会をいただけ、意識は変化しました。

 そんな達観したような気分でどうする! 6個上の蘭さんはいま、こうして大胆な決心をしたじゃないかと。その姿や思いを間近で見聞きして、僕もアクセルを踏み直そうという遺伝子のスイッチが切り替わりました。 そしてあらためて思ったのが、昔も今も変わらず<いつもファンのほうを向いていてくれた>ということです。

 2008年の「全キャン連大同窓会」で発起人だった僕は終盤ステージ上であいさつしてこう言いました。

 <「本当に、私たちは幸せでした!」と3人は最後にメッセージをくれた。

 そしていま「僕たちはいまでも幸せです!」と進行形で3人に返したいと。>

 いまこの言葉は、さらに増幅して僕たちの前に戻ってきてくれました。

 ファンがファンとして追い求める最高の到達点は、葬儀を見届けることだと、スーちゃんの葬儀で思い、今回のソロ歌手デビューにあたり、これからも永遠にキャンディーズも伊藤 蘭さんも聴き続けるぞと心に誓いました。

 まだ、ファン歴46年。折り返し点に過ぎないし、いつまでも6つ上のお姉さんを追い続ける年下の男の子でいるつもりです。

 そして最後に、堂々とこう残したい。

 19歳の姿をテレビで見たあの人は、64歳のいまがいちばん「カワイイ」。

 心からそう思いました。

(最終回 了)

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伊藤 蘭(いとう・らん)
1973年、「キャンディーズ」のメンバーとして歌手デビュー。センターとなった5枚目のシングル「年下の男の子」が初のヒットとなってからは人気沸騰。「春一番」「やさしい悪魔」などヒット曲を続け、1977年7月、突然の解散宣言から、1978年4月に、後楽園球場で伝説となったファイナルライブを行うまでファンを熱狂させた。80年、映画『ヒポクラテスたち』(大森一樹監督・作)に主演し女優として芸能界に復帰。以降、夢の遊眠社作品をスタートとして、三谷幸喜作品『子供の事情』など数々の舞台に。テレビドラマでは、木曜ドラマ『DOCTORS 最強の名医』などに出演、映画『少年H』では夫である水谷豊との共演も果たした。2019年5月 歌手としてソロデビュー。