昨年、彼氏と別れて落ち込んでいたA子は友人から「来年のGWにタイ旅行へ行こう」と誘われた。旅行中に現地で働く日本人のイケメンと親しくなり、交際を始めたA子。帰国後に彼と一緒にいたい気持ちが募り、退職を決意すると、社長から労働条件通知書を根拠に「研修費や給料を返せ」と言われるが…。(社会保険労務士 木村政美)
会社設立5年目のベンチャー系IT企業。従業員数80名。業務多忙のため通年で社員募集を行っている。
<登場人物>
A子:大学(文系)卒業後、食品メーカーに就職したが1年で退社、甲社に再就職して2年目の25歳。研修後はプログラマーとして勤務している。
B子:A子の大学時代の友人。海外旅行が趣味で、1人でどこにでも出かける。
C:A子の彼氏。26歳。タイの日系企業に勤務。
D社長:35歳。会社の急成長と自身の業務多忙のため労務管理が行き届かないことと、人材不足に悩んでいる。
E社労士:B社長の友人で5月から甲社の顧問社労士。
「ああーっ!!今日も残業だわ」
昨年の秋、3年間交際していたA子は彼氏に振られ、失意のどん底にいた。ただでさえ忙しい職場なのに、失恋のせいで仕事が手につかず、連日夜遅くまで残業が続き、身も心も疲れ果てていた。
半年ぶりに再会したB子に
誘われたGWタイ旅行
その年のクリスマス、A子は半年ぶりにB子と会った。普段ならお互い近況報告をし合うのだが、今回はA子が一方的に寂しさをぶちまけた。