世の中には、生涯で本を5冊も読まない人が大勢います。
「購入された書籍全体の95%が読了されていない」のです。
 でも、途中まで読もうとしただけでも、まだマシです。
「購入された書籍全体の70%は、一度も開かれることがない」のですから。
「最初から最後まで頑張って読む」「途中であきらめない」
 こんな漠然とした考え方は、今すぐ捨ててしまって結構です。
 これから紹介する1冊読み切る読書術さえ身につければ!

時間が10分空いたらカフェに入って本を読もう

週1冊で成功体験を積む

明治大学文学部教授・齋藤孝氏齋藤 孝(さいとう・たかし)
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著作家、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社文庫、毎日出版文化賞特別賞受賞)、『身体感覚を取り戻す』(NHKブックス、新潮学芸賞受賞)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)など多数。<写真:読売新聞/アフロ>

 スキマ時間を有効活用するには、「今週の1冊」を決めておくのも1つの手です。
 今週の1冊を1週間持ち歩き、スキマ時間にページをめくって、塵も積もれば山となる方式で読破を目指すのです。
 ゲーム感覚でトライしてみるといいでしょう。

 スタートは日曜日の夜です。
 日曜の夜はリラックスしつつも、「明日からまた仕事だな」という気だるさも混じった時間帯でしょう。
 あえてそのタイミングで1冊を選び、夜のうちにちょっとでも読んでおくといいのです。

 そうすると、翌日の月曜から軌道に乗りやすくなります。
 朝の通勤・通学電車でも、自然と続きを読もうという気になりやすいです。

 日曜ではなく月曜からスタートすると、もう仕事モードになっていますから、なにかと慌ただしくなりがちなので本を選ぶのも億劫になります。
 読み始めの勢いも出なくなりやすいです。

 もし読み始めた1冊が30ページまで読んでもつまらなかったら、こだわらずに途中で強制終了してもいいです。
「せっかく読み始めたんだから読破しなくちゃ」と嫌々読み続ける必要はありません。

 つまらなかったら、すぐに別の1冊にチェンジします。
 そして、首尾よく読書がのってきたらこっちのもの。
 電車内はもちろん、昼休み、休憩時間も、続きを読まずにはいられなくなります。

 事前の設定通り、その本とのつき合いは1週間で終了にします。
 読み切る訓練ですから、とりあえず期間厳守です。

 とはいえ、まさかその時点で「読み切れなかった」という事態は起きないはず。
 途中でペースが落ちていたら、後半の金曜や土曜に飛ばし読みをすればいいのですから。

 飛ばし読みしてでも、最後まで到達することが肝心です。
 1週間でお別れするとわかっていたら、最終日にはとりあえず最後のページを読むのです。

 まずは、曲がりなりにも「読み切った!」という成功体験を体に覚え込ませましょう。