書店で待ち合わせてネタ探し

 私は書店で人と待ち合わせることがあります。
 待ち合わせた時刻までの限られた時間で、本を探すためです。

 書店で本を探すとき、たいていは何冊かを手に取り、パラパラめくってよしあしを見極めようとします。
 タイトルや著者、カバー(表紙)の面構えなどに着目して本を手に取り、目次などにざっと目を通します。

 慣れてくると、買わなかった本についても、おおよそのテイストをつかめるようになります。
 すると、「こんなことが書いてあった」と、待ち合わせた人とのちょっとした雑談のネタにもなるのです。

 待ち合わせた時刻よりちょっと早めに到着するようにして、「時間内に買う本を1冊は決める」というルールを作ります。

 身銭を切ろうとするからこそ真剣度が増すというもの。
 より内容を理解し、より面白い本を選ぼうとする意識が働きます。

 待ち合わせた相手が到着したら、そこで終了。
 選んだ本を持ってレジへ向かいます。
 そして、待ち合わせた相手に、さっそく本の話題をふってみるのです。

 私は、読書についての講演をするとき、こんな話をすることがあります。

「みなさん、天気の挨拶などは、ほどほどにしましょう。誰でも暑いとか寒いとかは、わかりきっています。それより第一声を本の話題にすれば知的ですし、読書の文化も広まっていきますよ」

 待ち合わせた相手には、こんなふうに話をふってみましょう。

「店内を見ていたら、こんな面白そうな本があってさ」
「ちょっと興味を引かれた本に、こんなことが書いてあってね」

 格好のアイスブレイクになること請け合いです。