新時代の証券マンに必要なマインドセット

 過去の証券マンは、自分がもたらす価値を「価値ある情報を顧客に伝えること」だと思ってきた。そして、その相手は第一義的に「顧客」だった(時に、最重要の「顧客」が社内の自己勘定取引部門の場合もあったが)。

 例えば、2012年に野村證券が行政処分される対象になったファイナンス情報の顧客への漏えいにしても、これに関わった社員は、法令遵守において自らにミスがあったとは思っても、客のために尽くしたのだから自分の意図は悪くなかったという感覚を持っていたのではなかろうか。

 しかし、今や、証券マンは、第一義的に「顧客よりもコンプライアンスが大事だ」という感覚を持っていなければならない。あえて言い換えると、「顧客のためにも、一番大事なのはコンプライアンスだ」という認識だろう。昔の証券ビジネスを知る人は、いかにもツマラナイ!と思うかもしれないのだが、現代に適応するためには、このような認識をマインドセットに組み込んでおくべきなのだ。「特別な情報を特別な相手(と称する多くの相手)にささやく」ことが付加価値の根源である証券ビジネスは、もう終わったのだ。