しかしこれらの本が“警鐘”を鳴らした「財政破綻」は現実に起こらなかった。財政破綻は面白い材料なのか、これらの本以外にも、それに類する本は少なくない。

 ある国会議員は、財政破綻の問題を国会質疑で20年近くも主張しており、筆者が、予言は当たっていないと指摘すると、当たっていないことは認めるが、言わざるを得ないと言っていた。

 実現したら困るので、根拠なしでも言う必要があるというものだ。この意味では、ノストラダムスの予言と大差ない。

 一方で、財務省はこうした「財政破綻本」は増税の根拠にできるので、放置している。むしろ、財政破綻論を書きたい著者には財政資料をレクチャーするなどして後押しすることもある。

『絶対に受けたい授業「国家財政破綻」』(2010年6月)は興味深い本だ。財政破綻論が書かれている。

 その本の筆者は、私にも見解を求めてきて、まず財政は破綻しないという私の意見も掲載されている希有な本だ。

破綻のリスク試算
「5年以内では確率1%未満」

 筆者が日本財政はまず破綻しない、と言ってきたのには理由がある。

 各国国債の信用度は、それらの関わる「保険料」(CDSレート、債券などの債務不履行のリスクを対象にした金融派生商品の取引レート)から算出される。

 危ない国債に対する「保険料」は高くなるはずだからだ。

 しかも、この「保険料」がもっともらしいのは、それがネット債務比率対GDPと、かなり(逆)相関の関係を持つことだ(下図)。

 これは、ファイナンス理論と整合的な結果である。